三陸ラビリンス気仙沼(弁護士東忠宏)

気仙沼の弁護士東が,弁護士活動において考えたことなどを書いています。毎週日曜日に更新記事をアップするのを、目標とします。

記録閲覧や共同受任などなど

1年少し空いての投稿です。

 

1 この1年余の間に,たまたまですが,

① 私が,東北で交通事故事件(被害者側)の第一人者と思っている方との共同受任,

② 過労死事案で相当の経験をお持ちの方との共同受任,

③ 私が法人の破産申立側ー管財人が全国でも有数のレベルの方,

という僥倖に巡り合わせました。

 

2 「施行令二条二項にいう「同一の部位」とは、損害として一体的に評価されるべき身体の類型的な部位をいうと解すべきであるところ、本件既存障害と本件症状は、損害として一体的に評価されるべき身体の類型的な部位に当たるとは認められないから、「同一の部位」であるとはいえない」で有名な,東京高裁平成28年1月20日判決・判例時報2292号58頁につき記録閲覧のため,原審のさいたま地裁に行ってきました。

(「弁護士13人が,,,」https://www.amazon.co.jp/dp/B07N7SF3JB/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1で書いたとおり,私は記録閲覧による勉強に凝っています。)

(仙台本庁では,それこそ手当たり次第ですが,遠隔地となると調べてから行きますので,メジャーどころでは①「訴訟の心得」の中村直人弁護士のお名前を見つけて,ジェイコム株大量発注事件の記録を読んだり〔民法商法学者がオールスターで意見書を出していた。〕,②荒井哲朗×高野隆に惹かれて最高裁平成28年9月1日公刊物未裁を読んだり〔この事件は,荒井先生の取り組みが分かる,訴訟係属時から後の最高裁への伏線が張られた小説というレベルの事件記録でした。〕)

 

3 さて,それらを踏まえての感想などを,及ばずながら書き付けておきたいと思います。

⑴ 1①の訴状や続く医学分析は,率直にいって,私の発想・レベルを遙かに凌駕していました(その先生も,当該事案はSクラス=最高難度だと言われていた。)が,責任論や損害論では私も相当に注力させていただき,結果,私が一人で受任していた時分では,到底考えられないような成果が出て(裁判官の巡り合わせもよかった。),依頼者にも大変喜んでいただけました。

⑵ では,1②・③・2なども,やはり全く思ってもみなかったような分析が展開されたり,書証が提出されているのかーというと,そうではない。

これは,不遜な意味で言っているのではありません。

そこにあるのは,一つ一つは,まあ,普段の実務で見る範疇の書面だったり,証拠が殆ど大半を占める。

正直,書面も無骨で,項立てがない文章が続いたりとか,読みやすさへの十分な配慮とまで行っていないものもある(ただし,冗長とかはないです。)

ただ,何かが違い,そこが,例えば2などは裁判所を説得し,自賠責実務の変化すらもたらしている。

その「何か」を知りたいですよね?

それは言語化できるような,チェックポイントなどで定型化できるようなこと(するとしたら,お題目的になってしまうだろう。)ではなく,体得するしかないようなものなのですが,私はこんなことばかり考えているので,薄々イメージは付いてきたと思っています(続く)。