平成30年の取組など
夏休み明けくらいから,なかなか忙しい日々が続いています。
たまに朝8時30分から夜7時まで,30分~1時間刻みで打ち合わせ10件超とか。
そこに刑事の新件が来たり(私は利益相反がない限り、公的関係は何でも受けるのが信条。勾留前の当番弁護で、被疑者援助を申請しないことはほぼない。)。
まあでも,それくらい忙しい方が,私はペースを発揮しやすいです。
たまーに不意に暇が続くときがあるのですが,かえってペースが掴めず,仕事がはかどらない。
さて,今年最初で最後の投稿ということで,今年の振り返りを。
第1 論考を世に出せた。
地方の支部弁護士としては望外のことで、おそらくこんな年は二度とないでしょうから、記念に書いておきます。
1 「自由と正義 2018年Vol.69 No.1〔1月号〕」において,座談会「研修の達人に訊く」~これであなたも免許皆伝!日弁連研修 驚愕の活用法~」
に「研修の達人」なる紹介で登場できました。
日弁連eラーニングを視聴するのが「趣味」で,外国関係以外はほぼ全部視聴している特異な会員だということで,取り上げてもらえたようです。
平成27年5月に,荒井哲朗「諦めない債権回収」を視聴して感激し,こんな役に立つものを,なぜ今まで放置していたのかと大後悔。
最初の年度内に200くらい聞いていたと思います。
今も,(当該記事とは異なり)週に3日,早朝出勤する日を決めて,その際に聞くようにしています。
2 「日弁連研修叢書 現代法律実務の諸問題<平成29年度研修版> 」において,「地方弁護士の捜査弁護の実情―勾留に対する準抗告を中心に―」
まあ,今振り返っても,私は刑事弁護畑ではないので気恥ずかしいのですが。
日弁連研修叢書 現代法律実務の諸問題<平成29年度研修版> / 第一法規ストア
3 「個人再生の実務Q&A120問 (全倒ネット実務Q&Aシリーズ)」において,「Q57 第三者が出捐した債務者名義の保険・預金の評価方法」
これは,先輩方の指導を受けながら。
いい勉強になり,一流の本の作成過程に触れられました。
そして,この手の本は,大量の素材を集めた上で,バッサバッサと切り捨てて要約するものです。具体的問題に当たったら,原典に当たらなければなりません。
調査のとっかかりに過ぎない。
4 「弁護士13人が伝えたいことー32例の失敗と成功」
ボスの弁護士登録50年の集まりをしようと呼びかけたら,こんなことになりました。
序文で感激,今月に登録50年のお祝い兼出版パーティーで,大阪弾丸ツアーを敢行しました。
第2 研修の講師もした。
いずれも仙台弁護士会で,
1 3月「裁判員裁判手続に関する基礎研修『被疑者弁護人としての諸活動』」
2 6月「個人再生事件処理に関する研修会」
一人が,刑事と民事の講師をするなんて,地方ならではですが。
弁護士向けの講演は,準備がムチャクチャ大変でプレッシャーもあります。
体系的に整理する絶好の機会で,本当に勉強になりますが。
これのお陰か,今年は例年になく,たしか5,6件の個人再生を受け,かつ,それらは(非住宅ローンで)担保競売停止とか,アンダーローン事案とか,ローン支払い中の車の維持とか,手のかかるものばかりでした。
第3 事務所の体制を大きく変えた。
1 私のPC環境の更新
PCを更新し,合わせてモニタを5台!としました。
①文書作成,②証拠説明書作成,③判例検索,④書証(PDF)閲覧,⑤ネット・SNSが同時にできて,大変快適です。
Google Maps: Report Inappropriate Image のモノクロの写真のやつです。
2 事務所LINEアカウントによる依頼者とのLINE・1:1トークモードの運用
大変便利!
これで,大幅に依頼者とのコミュニケーションが進むようになった。
細かいタイミングでの報告もできるようになり,好評です。
3 事務処理
証拠説明書を「三段組み」とするようにしました。
成果は追ってご報告します。
一太郎も更新して,だいぶビジュアル面を意識した書面を作成できるようになったと思います(表やPDFの盛り込みが,更に増えた。)。
あと,多分今年から,不明・要再考の箇所に●を付すようになり,見直しが大分楽になったと思います(それまでは,※とか空白だったが,●は目に付きやすい)。
4 書籍・雑誌のPDF化
これも,ようやく取り組みました。
ただ,省スペース以上の活用にはまだ至っていないかも。
PDFへの書き込みは,便利で大分使えるようになってきました。
PDF化する前に、本・雑誌をざっとでも読むようになったのは大きいかも。
5 高裁記録閲覧!
ついに,前々から思っていた,(受任していない事件につき)高裁記録を適宜閲覧して勉強する,ということを始めました。
想定以上に勉強になります。もっと早く始めればよかった。
(この、他人の記録に注目する、というところは、先の「弁護士13人・・・」本でも言及しています。)
「紛争解決の失敗学」としても,各弁護士の取組を見るとしても,あるいは判例雑誌には掲載されない,本当の裁判実務の実情を知るという点でも,大変勉強になります。
これを始めたから,証拠説明書三段組みとか,準備書面の読みやすさとかに取り組めたし(調停員としての経験も大きい。),あるいは難しい事件でも粘り強く交渉を,ということになったと思います。
(弁護士が,手元の書類作成で満足するのは下の下。相手・関係者とコンタクトを取り,紛争処理を目指さなければ,裁判でも成功はないことをつくづく思い知らされる。)
来年から,東京高裁に出張しての勉強もすることにしました。
と,長々書き,このように整理してみると,なるほど,今年(=41歳。弁護士16年目に突入)は自分なりの取組に拍車がかかった年だと思います。
最近、ようやく、今更ながら、「争点整理」とか「立証構造」の意味が、この世界に入って短くないはずなのに、やっと腑に落ちてきた気がするのです(って、ひどいね。)。
でも,何が変わったって,やっぱり●●●が変わるだけで,これだけ裁判実務は変わるのか!と驚いたし,それが一番かも。