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三陸ラビリンス気仙沼(弁護士東忠宏)

気仙沼の弁護士東が,弁護士活動において考えたことなどを書いています。毎週日曜日に更新記事をアップするのを、目標とします。

紛争寸鉄

・ 裁判は長い時間がかかるのだろうか。我々の交渉・紛争に対するストレス耐性が弱いことの言い換え,という側面はないか。

 

・ 相手方の言い分のとおりにしたい,と「相談」に来る人が少なくない。相手方の言い分のとおりことを納めて紛争・交渉という状況から離れたいし,そのように離れたことも弁護士のお墨付きであって,あとでもっとこうすればよかったのでは,という後悔も避けたいのであろう。

 

・ 意外な判決がある。そんな法律構成ないだろう,勝てるはずがない,と思っていて,事実,一審・二審と負けが続くが,最高裁で突然,勝ったりする。世の法律家は,意外に思ったり,最初から分かっていたような顔をする。が,しばらくすると,皆当たり前のような認識になり,その法理を前提として実務は進む。

 

・ 交渉・訴訟というのは,やはり,やってみないと分からないところがある。当方・相手方・関係者の思惑,情報量,健康状態,資金状況,ストレス耐性,社会情勢,判例の動向その他,裁判官も同じ。目の前の裁判官が絶対と思ってはならないことに多言を要すまい。

 

・ そもそも,弁護士も分かったような顔をしているが,意外に,判例も主たる実務も存しない,日常的な紛争はある。

 

・ が,相談者は,相手方の言い分のとおりにしたい,と言う。じっくり話しを聞いて,当方で可能な言い分を示し,その場では納得した様子で委任契約書を締結する。が,私も直ちに受任通知を送ることはしない。翌日,やっぱり委任したくないという電話がかかってくるだろうから。彼は,相手ともぶつかりたくないし,後悔して過去の自分とぶつかるのも嫌だし,相談を聞いた弁護士が進める委任契約を面前で断って弁護士とぶつかるのも嫌なのだ。そうなのか。

 

・ このように書くと,なんだか彼が,自分の権利実現に熱心ではないようだが,実は,そういうことではない。彼にも彼の生活・生活態度があり,果たして弁護士が言う,自己の権利主張を基調にする交渉・訴訟は彼のためになるものなのか。本当にそうなのだろうか。そう彼が思えなかったことは事実ではなかろうか。

 

・ 弁護士こそ,可能な限りの法律構成をして権利主張をすることで,後日の後悔から免責され,言い分を尽くすことで,結果がダメでも裁判所のせいにすることでストレスから逃げているのではないか。ストレスを抱え込んで,でも相手の言い分を丸呑みにして,なお生活を続けることにした彼の心情・状況をなお考えよ。