三陸ラビリンス気仙沼(弁護士東忠宏)

気仙沼の弁護士東が,弁護士活動において考えたことなどを書いています。毎週日曜日に更新記事をアップするのを、目標とします。

我がダイエット法(禁酒法)

8月は3キロ減に成功。

これは,7月から始めた禁酒(節酒)の賜である。

飲まなかった日は7月の方が多いが,それを8月も続けたことで成果が出たらしい。

7月が10日/31日だから1/3程度の飲み,8月が15/16だから1/2飲んだことになる。

「なんだ,そんな程度で節酒と言えるのか」という向きもあるだろうが,私などほぼ毎日飲み,それもビール2本,ワイン1本,焼酎・ウイスキーがストレートで浪波と2,3杯など珍しくなく,1日飲まないでも大騒ぎするほどの者なのである。

 

と言っても,目標体重までまだまだだが,ダイエットと禁酒(節酒)のことなどを書き付けておく。

 

1 震災前に,一度ダイエットに成功して,大学生の頃くらいの体重になったのだが,震災後のストレスで元の木阿弥。

2 昨年,再びダイエットの機運になったのだが,中途で大幅な停滞。なにやらうやむやに。

3 2の停滞を打ち破りつつあるのが現在。

 

で,今回の3だが,まず朝食を食べなくなった。

「朝食を食べよう」は訴求力・呪縛力ある言葉で,私なども,何やら食べないとダメ人間になるように恐れていたのだが,慣れればどうと言うことない。

朝は炭酸水500mlのみとしている。

昼は,少し食べるが,できれば忙しさにかまけて,食べない・お菓子を食べる程度で誤魔化したい。

で,夜は,好き放題に食べる。が,胃も小さくなったのか,それほど食べなくなった気もする。

 

酒を飲むと,どうしても食べるので,炭酸水ばかり飲むようにしている。

運動もしているが,運動によるカロリー消費なんて知れていて,結局は食事量の制限しかないというのが私の結論。

 

このようにして痩せつつあるのだが,この食事回数・食事量の制限のいいところは,

 

・ ともかく食事が旨いし,また旨くなるように丁寧に準備する,

 

というところであろう。

 

今日とて,サイシンhttps://winenavi.jp/でワインを買い,

あては,①サンマの酢締め,②トマトのオリーブオイル・塩こしょう,③タコの刺身,④スペアリブを茹でたもの,⑤秋刀魚のチーズ焼き,⑥生ハム,⑦パルメジャーノ・レッジーノを並べることとした。

減らした体重が勿体なくてラーメンなんか食べられるか,生鮮食品でワインを飲むだと息巻いている。

 

 

 

今の世があるのは彼らの犠牲のお陰,についての一考

フランス革命があるから,現在のフランス-基本的人権保障ほかーがある。」という命題がある,とする。

そうすると,バスティーユの牢獄を襲撃した一団に加わったものの,王の兵隊の狙撃に散った人物について(そのような局地攻防戦を経たからこそ革命が成就したのであって),尊い犠牲の上で現在のフランスがある,というところの犠牲の一内容に加えられることは理解しやすい。

あるいは,本来は革命派だったのに,政治的立ち振る舞いでうっかりしたために,揚げ足を取られてギロチン台の露と消えた人物だって,当時は反革命の元に処刑されたのかも知れないが,後世から見て,まぁ革命の推進力の一人であった・そのような勢力内の混乱も含めての革命である,と見て,それも今日のフランスを成り立たせた犠牲者の一人である,と考えてもいいだろう。

じゃあ,この革命を阻止すべく,王の下で忠実に働いた将軍なり,無名の兵隊の死を,どう捉えるべきか。

まぁ,私などは,レトリックとして,彼のような人たちも,今日のフランスがあるための犠牲者と表現してもよいとは思う。

なんとなれば,大前提として,彼が王・革命派のいずれについたのかは,たまたまの出生・その他偶然に過ぎない要素もあるだろうし,

そのような(革命側から見れば)啓蒙されていないがための体制派を屠ることによってこそ,革命は成功したと言ってもいいだろうし,

後世から見て,歴史の転換は多大な血を欲し,それに居合わせたのが彼らだ,と言って上げるのがせめてもの救いのようにも思うのだ。

 

ただ,そんな修辞を認めたら,ともかく何でも,今の社会があるための犠牲者じゃないかと言われると,まぁそうなってしまうわな,と思う。

 

保険金訴訟(モラルリスク事案)の思い出④-反転攻勢・破

 (すいません,どうにも忙しく,この更新ペースです,,,)

 

このペースでは終わらないので,今回の連載の目的ー火災保険金訴訟における契約者側の立証活動について,私が取り組んだことの紹介をします。

 

1 採取試料につき,削り跡の写真を見よ!

これに気付いたときは,コーフンしたなー。

相手方保険会社の調査会社報告書は,焼けた柱から採取試料を削ったと言うが,写真を拡大して見ても,とても削った跡なんてないんですよね。

まぁ,「反省」して,今後は跡を残すようにするでしょうが。

 

2 保険会社代理人の訴訟活動をチェックせよ!

保険会社側は,しきりに試料の採取・保存過程の適正を強調します。

じゃ,他の訴訟でも,こんな採取過程なのね,本当なんだね?

じゃあ,他の訴訟の記録を閲覧させてもらうよ,,,

(その方法について,興味あったらお問い合わせ下さい。)

おお,なんだ,こんなちゃんとした方法で採取しているじゃないか,それ知っているのに,この訴訟ではこんなことを言うんだ!

 

あともう二つ程,私なりの取り組みがあるのですが,あまり手の内を言うのもどうかと思い,この程度にします。

 

火災保険金訴訟・契約者側に取り組まれている弁護士さんが,行き詰まったとき・悩んでいるときに,ふと検索して,本ブログを読んでくれことを期待しつつ,,,

そう,「反転攻勢・急」を実現するのは,あなたなのです(とまとめてみた。)。

 

 

 

保険金訴訟(モラルリスク事案)の思い出③-反転攻勢・序

〔第5回期日まで〕

困ったときは,依頼者に会う。

これは私のみならず,他の弁護士さんもそうしているだろう。

私も,特に苦しければ苦しいほど,よく分からないが,とりあえず依頼者に会うようにしていた。

 

火災調査探偵団の先生からも,とりあえず,出火元と思われる部屋について,火災前の室内の様子を図面にするように言われた。物品の位置とかね。

 

もちろん家は全焼・取壊しを終えているから現場に行っても仕方がないはずなのだが,いかなるきっかけだったのか,行くことになった。

 

そこで,ようやく(私の聴取り方がまずかったことを晒すに等しいが),隣の人の初期消火活動の様子とか,それに要するはずの時間(燃え広がりが人の手に負えなくなるまで,相応の時間を要したはずであること・その程度の消火活動に取り組んでいたこと)が,

相手方代理人がしきりに強調する,灯油検出量の「異常な多さ」

と矛盾するように思えてきた。

火災発見・初期消火活動などは,私・イソ弁で実際に動いてみて,それに要する時間を計ったりまでして確信を深めていった。

 

さて,私も反省を込めて書いておく(私「も」というのは,つくづく,同世代と思わしき相手方代理人の活動を見ていて,考えさせられるところがあったから)。

ともすれば,私なども経験が浅いから,事件を全体的に観ずに,局所的な部分で最大限有利に主張することが仕事をすることだと思ってしまう。

個別局地戦で,その場での一番強い手を指しておけば,いいだろうと思ってしまうわけですね。

 

でも,世の中の事実は,そういう具合には出来ていない。

合成の誤謬」なんていう現象もある。

 

相手方代理人は,しきりに灯油検出量の多さを強調して,当方の放火関与を主張したが,それが今度は,「そんなに灯油検出量が多い→燃え広がりも早かったはずなのに,隣人らは相当の初期消火活動を出来ていた・なぜ?」となってしまったのだ。

この隣人の消火活動は,火災直後に業界新聞に詳細な手記を寄せているなど,いわゆる「動かしがたい事実」と言ってよいものだった(なんか都合が良すぎてドラマみたいだけれど,本当にそうだったのだ。)。

 

ここに来て,なんと当方が,むしろ灯油の大量検出がかえって不自然だ,被告が大量検出を主張することが有利になる,という逆転現象が生じてきたのである。

 

その他,灯油成分の採取にまつわる疑義,当方の経済的状態なども,まずまず主張した。

 

なんだか追いついてきたようだ。

が,どうも相手方主張と矛盾する間接事実を立てられたとしても,モラルリスク事案における契約者側主張としては,まだ弱いようだ。

世の中には,灯油検出と経済的事情(それだって何とでも説明が付く)で,放火犯の内部事情は分からないからと,いっちょ上がり式の判決などいくらでもあるのだから。

とはいえ,原告側の事情は使い切ってしまった。

どうしたものか!?

保険金訴訟(モラルリスク事案)の思い出②-模索編

〔第3回期日・第4回期日〕

第2回期日において,相手方より,焼け跡から大量の灯油成分が検出されたとの主張・立証がなされた後,

それにどのように対抗したらいいのか,この半年くらいが,この訴訟で一番大変だったと思う。

 

なにせ,「モラルリスク」なる言葉すら,相手方代理人の書面により初めて知ったくらいだから,どういう方向で争えばいいのか,さっぱり分からぬ。

ただ,私としては,元々依頼者が知っている方であり,震災後の市民皆が家に困っている状況でわざわざ自宅を放火するか,保険会社の主張が無茶だとは思っていた。

しかし,裁判所というのは,そんなことよりも,客観的に灯油が出たのだから,ということを中心において考えるだろう。

 

とりあえず考えたのが,

・ 灯油成分検出場所は,火元ではない。それを,火災の燃え広がり方から推測する,

というのはどうか,というものであった。

 

これも,懇意にしている消防関係の方に見てもらったりしたが,火災の方向性というのを,簡単に説明できるようでもなかった(と記憶している。この辺り曖昧)。

 

イソ弁と2人,ああだ,こうだと議論した,と言うと格好いいが,私も(期日では相手方代理人に元気よく発言したつもりだが)半分投げ出し気味になり,イソ弁に方向性の検討を押し付けたりもした。

最初の数か月は,考えては駄目,聞いては駄目,ということの繰り返しだった。

 

で,イソ弁の奮闘もあり検討のための期日を続ける中,上記消防の方の紹介で,火災調査団

火災調査探偵団

の運営者の方を,ご紹介頂くに至ったのであった。

この辺りから,ようやく,反転攻勢の足がかりとなるのであった,,,

(まだ続きます。更新ペースが遅くてすいません。)

保険金訴訟(モラルリスク事案)の思い出①

少し前の,火災保険金訴訟の経過を書きます。

実は,書くことについて依頼者の了解は得ているのですが,適宜改変します。

 

事案はこんな感じです。

依頼者は,某年某月,自宅の火災に遭いました(全焼)。

当然,自宅再建のため,火災保険金を当てにするのですが,担当の調査会社が2度程来ても,なかなか支払へと進まない。

で,「支払いません。」との保険会社代理人の弁護士名の通知が来る。

明確な理由は書かれず。

 

この辺りで,私どもに相談があり受任し,代理人として,とりあえず不払いの理由の釈明を求めるのですが,回答の拒絶。

提訴予告通知に基づく当事者照会として,改めて不払い理由を示すよう求めても同じ。

 

やむなく保険金訴訟+慰謝料(提訴予告通知に基づく当事者照会の拒絶を,保険契約に付随する説明義務違反・民訴法違反の不法行為とした)で提訴。

 

形式的な答弁書があり,なにやら「モラルリスク」(という言葉を,私はこの書面で初めて知った。)だから払わない,保険金の受領歴,資産収入状況等を明らかにせよと述べてくる。

〔第1回期日〕

ここにおいて,私は,某師匠(当初登録時,同じ事務所に弁護士任官から戻られた方)の教えのとおり,法の予定していない類型の釈明であるとして拒絶。

請求原因(保険契約の締結,火災による全焼)は立証しているのだから,抗弁を主張しないのなら早く結審せよ,と述べた。

〔第2回期日〕

そうしたところ,どどんと出てきたのが,被告の第1準備書面,対応する書証は,焼け跡から灯油成分が「大量」に検出されたというものであった,,,

 

さあ,これに,どう対抗したらいいのか,我々の悩み・奔走が始まった,,,

何しろ,同種訴訟をやったことが無く,本当に,なぜ払わないのか,さっぱり分からないまま訴訟になったんだから。

(今にして思えば,不払い理由を訴訟前に開示しないのも,保険会社側なりの戦略の一環ともいえるのです。交渉事件なら時間は任意取れますが,訴訟になってしまうと期日間という締切りの中で,準備しなくちゃいけない。)

 

 

さぁ,俺は,同種訴訟を年10件超もやっているという保険会社子飼いの代理人らに,どう対抗するのか。

それは次回を待て!。

 

 

男性専用車両がない理由

たまに東京に行くと,電車なりエレベーターで,人と密着しなければならないことの連続で,まぁ大変不快である。

私のように田舎で暮らしていると,車社会であるから,見ず知らずの人ばかり押し込まれる空間など,日常,全く経験していないのだ。

パーソナルスペース浸食への耐性が違う。

 

で,現地調査等のために電車を乗り継ぐのだが,満員電車で側に女性がいると,何かあっても困ると離れるようにしている。

大阪時代,痴漢えん罪を主張した刑事事件の弁護をしたことがあり,かなり一生懸命したつもりだが,その際の勉強や経験では,結論的に,どうしようもなくなる見通しなのだ。

あの時は,それこそ,毎朝4時に起きて移動して,関西私鉄某路線の「犯行」時刻の電車に乗り込み,車内の様子をビデオ撮影すること3日連続とか,まぁ力は入ってた。

(某著名刑事弁護人曰く,周防正行それでもボクはやってない」のおかげで,ともかく電車内の痴漢否認だけは,裁判所も批判を恐れて勾留却下が認められやすくなったそうだ。)

否認の場合の起訴率は,その当時よりは,まだマシになっているかも知れないが。

 

 

そうした不安を受けてだろう「男性専用車両」を求める声がある。

(「女性専用車両」があることへの対抗的・反発的な気持ちからの導入論もあるだろうが,ここでは痴漢えん罪被害を避けるためを主目的にした導入論への批評とする。)

 

もちろん,気持ちは分かる。

日常の通勤で,ある日,その後の人生が暗転する出来事に巻き込まれたら,,,と思うと恐怖感すら覚えるだろう(私も,東京の電車で,チラッとそんなことを思ったりする。)。

 

でも,痴漢えん罪被害を避けるための「男性専用車両」なんて導入されるはずがない。

 

1 鉄道各社が,「痴漢えん罪」なる警察・検察への不信・批判を前提にした公共サービスを提供することを,社会に示せるはずないこと。

警察・検察は,真犯人を確実に捕まえるはずであり,その誤りを恐れて,集団で避難するスペースなど作るのは,警察・検察への挑戦行為と受取られるだろう(と,鉄道各社は思うだろう。)。

(警察・検察は,彼らの論理では,「痴漢えん罪」など存せず,それは,裁判所の被告人への軽信とか,たまたまの証拠不足とか,被害者の動揺によって証言がうまくできなかったことによる無罪があるに過ぎないと考えるしかないだろう。あるいは,被害者が積極的に嘘を言っていたとしても,それは当該「被害者」が悪い・見抜かない裁判所や無力な弁護人も共犯であって,警察・検察による冤罪ではないと思っているだろう。)

 

2 導入後,諸外国の方に尋ねられたら,まさか,痴漢えん罪被害を避けるために,このような男性専用車両が存するのだ,我々国民は,司法を信用していないのだ,それを受けて鉄道各社は導入したのだ,などとは言えないだろう。

その説明には,人質司法とか,推定無罪の現状とか,逮捕・起訴と解雇とかも触れなくてはならなくなる。

 

どうやら,男性専用車両は,冤罪被害という体制側からすれば存在しないはずの被害を前提にする・そのような被害への批評となるもので,認められないのだ。

(痴漢えん罪無罪が年に数件出るくらいなら,突発的事故であって,見過ごすこともできるが,毎日の電車に,痴漢えん罪を前提にしたシステムがあることは認められない。)

 

(しばらく前にFBに投稿した短文を大幅に加筆した。)

補足:「痴漢えん罪保険」なるものも,予め司法への不信を一前提にしている。

ここでは,鉄道各社が,自社のサービスによって,冤罪を作り出す一因となることを積極的に認めることはできないことの相違と理解したらどうか。